カジキの漢字 魚へん尋

魚へん尋 覃と書いて「鱘」「鱏」
大型魚のカジキに使われた漢字。

 

どちらの漢字も他の魚にも使われている。

鱘 魚へん尋(ジン)はチョウザメに

鱏 魚へん覃(ドン)はエイに使われた漢字

カジキは単漢字以外では

旗魚、梶木、などと書く。


カジキの特徴

釣られるカジキのイラスト

 

姿は突き出た口吻が特徴の魚
英名などでもここから来ていて、
メカジキ科の魚を sword fish、
マカジキ科の魚を bill fishなどとする。

 

よくテレビなどでゲームフィッシングで釣られている番組など
で登場する。
クレーンなどで吊りあげられている映像もよくある。
巨大なものは4,4m程にまでなるようで
雌は体重500kgにも及ぶ。

 

有名な小説、ヘミングウェイの名著「老人と海」(1952年)で出てくる
のも巨大カジキ。

英語ではマカジキ・クロカジキ類は”Marlin”(マーリン)と
呼ぶのであの小説にでてくるのはこれらの種類と思われる。

 

カジキの語源

運ばれるカジキ

 

カジキのもっとも特徴的な口吻(先の尖っている部分)が
由来という。

この吻を使いカジキは獲物を襲い
突き刺した所を捕食する。

吻はかなり強力で、木製の船板も貫き
通すことが出来るよう

語源はこのあたりから来たという説があり。

 

ときにはこの槍をもってクジラを襲い、漁船の舟板も突き通す。
1991年夏、高知県足摺岬の沖で、船底をこの槍で突き破られた
漁船が浸水するという事件がおきたが、メカジキを高知の方言で
「梶木通し」というのは、船板(かじき)を貫くところからきており
カジキの語源もそのへんにあるという説が一般的。

出典 – 『続・魚偏に遊ぶ』 カジキ

 

カジキのイラスト

梶という漢字は昔
①水をかいて船をすすめる道具や
②船尾につけて船の進行方向を定める装置に
使われていた。
現代は、①楫、②舵などが使われるのが一般的。

カジキは船底だけでなく、梶木①の水をかいて船をすすめる道具
もよく壊していた
とされている。
フィッシュイーターで動くような標的を
狙う魚、おそらく稀に②も破壊していたのと推測できる。

 

「梶木通し」の語源も水をかいて船をすすめる道具や船の底を
壊す事やをから来ていてこれが元でカジキの
語源になったと思われる。

 

 

カジキの漢字 魚偏に尋

売られるカジキ

 

「鱘」「鱏」これら二つの漢字がカジキに
使われていたのは
他の魚と間違えた日本での勘違いから
来ていると考えられている。

 

鱏をエイと読むのは誤りであり、鱏とは鱘のことだ
『和漢才図絵』(1712年)
とこんがらがっている。

 

鱏の漢字は昔、中国ではハシナガチョウザメとされて
これを日本でエイやカジキ読み違い
したようだ。

ハシナガチョウザメ吻の部分がとがっていて割と
シルエットなどだけでみると姿がカジキと似ている。
現代のようにカラー写真などもない時代、モノクロの絵や
文字だけでは間違ってしまうのもしかたのない話。

 

鱘の漢字については、これは姿からの誤解ではなく
記事を読み違えたことによるよう。

ついでながら鱘の和訓について符言する。右に出たカジキの訓は『和漢才図絵』が
加地止乎之(カヂトヲシ)と呼んでから起こったものである。これは『本草綱目』(明、理
時珍)の「口が鉄兜の頭に似る」という記事を根拠にして、嘴が鉄のように鋭く、船の
梶木(船底)をも突き通すほどだということから名のついたカジキに同定したものだが、
『本草綱目』の記事は鱏(ハシナガチョウザメ)の説明であって、まったくの誤解である。

出典 – 『魚偏漢字の話』 鱏 エイ

 

 

カジキの漢字 魚へん尋と同じカテゴリ